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Q&A

長時間労働は労災として認定されますか?

  • 文責:所長 弁護士 古田裕佳
  • 最終更新日:2022年4月5日

1 長時間労働と労災認定

労災認定されるためには、業務が原因で怪我や病気になったという関係(これを「業務起因性」といいます。)が必要です。

長時間労働の場合も、うつ病などの疾患との間に業務起因性が認められれば、労災として認定されることがあります。

2 長時間労働の疾患

長時間労働の疾患には、主に精神障害による疾患と脳・心臓疾患があります。

それぞれ労災の認定基準が定められており、その概要を説明いたします。

なお、厚生労働省のホームページに詳細が掲載されています。

3 精神障害の労災認定基準

⑴ 精神障害の発病が、仕事による強いストレスによる場合であることです。

具体的には、次の①~③の要件を満たす場合に、労災認定されます。

①うつ病や急性ストレス反応など認定基準の対象となる精神障害を発病していること

②精神障害の発病前おおむね6か月間に業務による強い心理的負荷が認められること

③私的な出来事など業務以外の心理的負荷や個体側要因により精神障害を発病したとは認められないこと

⑵ 長時間労働による場合、次の事情があると、とりわけ、上記②の業務による強い心的負荷が認められやすいと考えられています。

ア 発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合

イ 発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行った場合

ウ 発病直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った場合

エ 発病直前の3か月間連続して1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合

オ 他の出来事が発生した前や後に恒常的な長時間労働(月100時間程度の時間外労働)があった場合

4 脳・心臓疾患の労災認定基準

⑴ 脳・心臓疾患の発病が、「業務による明らかな過重負荷」を受けたことによることです。

例えば、発症前の長期間にわたって著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労した場合(これを「長時間の過重業務」といいます。)も、「業務による明らかな過重負荷」に該当します。

⑵ 長時間労働による場合、次の事情があると、「長時間の過重業務」として、発症が業務によるものと認められやすいです。

ア 発症前1か月に100時間を超える時間外労働が認められる場合

イ 発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合

⑶ ⑵・ア、イの水準に至らない場合でも、これに近い時間外労働を行った場合には、労働時間以外の負荷要因の状況も十分に考慮し、発症が業務との関連性が強いと判断できる場合には、「長時間の過重業務」と評価されることがあります。

労働時間以外の負荷要因には、休日のない連続勤務であったり、終業から次の勤務の就業までの勤務間インターバルが短い勤務などが該当すると考えられます。

5 弁護士に相談しましょう

長時間労働が労災に該当するかの判断は複雑であるため、お悩みの場合には、お早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。

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